2007年10月の日記:[以前の日記]
 
 
10月31日(水)
 
 
吉祥寺スターパインズカフェにて、松田美緒&ジョアン・リラのライブに出演。

 久しぶりに超本格派のブラジル人ミュージシャンと共演した。それも、20年来の友人にして、ブラジル屈指のギタリストの一人と言ってよいジョアン・リラが相手とあって、いろいろ感慨深いものがあった。
 20年前に、初めてブラジルに行った頃は、素晴らしいミュージシャン達との出会いは、まさに驚きの連続であった。いつか彼らと共演したい、いつかあんなミュージシャンになりたい、と、まあ、無邪気に思っていたものだった。しかし、だんだん「彼らと違う自分」を意識しはじめ、「違う道」を行くようになって、もう随分経ってしまった。
 今回ジョアンと演奏して改めて感じたことは、「やっぱり凄い、魅力的だ」ということだ。こういう音楽が好きでブラジル音楽にのめり込んだんだよなあ、と、かつての自分の気持ちを鮮明に思い出すことが出来た。そして同時に、その後に感じた「自分は違うなあ」という感覚も、ハッキリと思い出した。
 技術的に、もちろん彼は度外れに凄いのだが、特に彼の場合、指の持つ「地力」のようなものの凄さに、改めて感心した。そしてそれは、日本人にはほぼ「ありえない」と言ってよさそうなモノある。秋岡曰く「あれを日本人が目指したら、指を壊す」と。楽器は違うが、某有名日本人ドラマーは、アメリカでブラック系のバンドで活躍した代償として、足のつま先を痛めてしまったという。ペダルの踏み込みにチカラをかけ過ぎざるを得なかった、というワケだ。
 もちろんそういう「腱の強さ」の違いや実力差ということ以外にも、表現の在り方ひとつを取っても「ものすごく違う」と、改めて感じることが多かった。今、自分はブラジル音楽とは随分違うことを中心とした活動をやっていて、それについても「日暮れて猶道遠し」なのだが、遠く離れた道から、かつてさ迷った大山脈の勇姿を、遙かに垣間見た気分である。ああ、ブンガク的。
 そして同時に、そういうジョアンと一対一で対峙して、自分の音楽を追究している松田美緒は、素晴らしい。今日のライブのデキも、ブラジル音楽に関わる日本人歌手のライブとしては、驚異的なものだったと思う。彼女は僕の100倍ぐらいコスモポリタンな人なので、外国の音楽に対して、僕とは全く違う感じ方をしていると思われるが、今後どういう道を辿っていくのか、大変興味深い。
 
 
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1193904244.jpeg このおじちゃんは、凄い。

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10月30日(火)
 
 
松田美緒&ジョアン・リラと、明日のライブのリハ

 明日のライブのリハを今日やるとは、素晴らしいっ。と浮かれていられる状況ではない。いっぱい宿題を抱え込んで、さ〜て、明日までに出来るでしょうかっ、というカンジである。ジョアンは、やっぱり「ササディー」と、僕のことを呼んだ。全然変わらないじゃないかっ、オレなんかもう白髪だよ、と笑っていたが、彼のボルテージの高さも全然変わらない。ともかく、明日オイシイお酒をジョアン&美緒と飲むためにも、もうちょっと準備をせねば。
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10月29日(月)
 
 
ショーロクラブ、ツアーのための練習

 最近特にそういうカンジなのだが、このグループ大丈夫かしら、と思う程に、練習中のショーロクラブはヘタなんである。普通、リハーサルというのは、本番のクオリティを目指して練り上げていくものなのだが、我々のは、ちょっと違う。どちらかと言えば、欠けているモノの自己チェック、という色合いが強い。なので、欠けているものをそのまま出す。「ああ、ここは要自己練習だな」とか、「こりゃ、この曲はもう一度CD聞いて、自分の音をコピーせんと」とか考えつつ、「ああしんど」などと思いつつ、やっている。傍目には、絶対「やばいグループ」にしか見えない。これは、一応すでに理想のカタチについての身体感覚が出来ていて、それを思い出すための作業をしているワケであって、本番には、あーら不思議、完璧なサウンドに仕上がっているのである・・(多分)。
 ツアーの日程は下記のとおりです。詳細については、左上のSCHEDULE欄でご確認を。
11/3日大阪 4日亀山 5日名古屋 6日浜松 29日東京
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10月28日(日)
 
 

いわき市総合保険福祉センターにてNUUライブ。

 本日は「おでかけアリオス」最終日。保健センターにおける、親子対象のライブ。子供ができてしまうと、育児やその他のことに追われ、独身時代に自由にライブを楽しんでいた人達がライブを楽しめなくなる、というのは、よく聞くハナシである。こういう場面においても、NUUのような、小さい子供から大人までを納得させる「全世代対応型」の歌手は、威力を発揮する。1時間のライブで、大人から子供まで、キッチリウケて終わることが出来た。
 今回の3日間の「お出かけアリオス」に出演して、これは本当にNUUにとって豊かな「出会い」だったな、と思った。アリオスのスタッフの、これからいわき市の音楽文化をもっと豊かにしたい、という情熱を直に感じることが出来たし、その企画を受け止める側(=各会場の関係者)の熱い気持ちも十分に感じることができた。そして、その気持ちの交差するまっただ中で、NUUも積極果敢にそれらの人達の輪の中に入っていって、歌う側とそれを受け入れる側の、理想的な関係をキッチリ構築していたように思った。歌を仕事にしている人は沢山いるかもしれないが、こういうスタッフや受け入れ先に恵まれたNUUは、今回、歌手として最も「オイシイ」思いをしたことと思う。今後、いわき市はNUUの新しい「拠点」になるであろう。僕も、ちょびっとは、おこぼれに預かろうかな。
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1193758855.jpeg 質問:何をしているのでしょうか?

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10月27日(土)
 
 
いわき市田人(たびと)の田人ふれあい館にてNUUライブ

 昨夜、明日は晴れるといいね〜、と言いながら別れたのだが、起きてみれば、大雨。つうか「大雨警報発令」である。僕も長くこの仕事をしているが、大雨警報の中でライブをやったのは今日も含めたった二度である。前回はつい数ヶ月前に松山でNUUさんと、そして今回はいわきにてNUUさんと。さすがはNUUさんやね。
 田人は、いわき市の南部の山の中。雨が降っていなければ、散歩にで出かけたくなるような、自然豊かな地域であった。大雨警報が発令されると山の中の集落は危険なので自宅待機となる場合もあるそうで、お客さんの出しが危ぶまれたのだが、フタを開けてみれば満員の盛況である。
 客層はまさに絵に描いたような「老若男女」。全ての世代にわたった客層の中で、NUUのパフォーマンスはいやが上にもヒートアップ。今の日本で、NUUぐらい「全世代対応」な、アーティストはいないだろう、と思っていたが、まさにそのとおりの、大盛り上がりなライブとなった。
1193574527.jpeg 雨に煙る田人

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10月26日(金)
 
 
 昨日で、ここ一ヶ月半ほど続いた「制作月間」は、ほぼ終了。主なレコーディングも一段落つき、ここから12月アタマまでは、「怒濤のライブ月間」となる。しかし、毎年同じようなことやってるなぁ、という感慨も。そうやっているうちに、知らない間にトシとっていくのですね。
  今日は、来年オープンする「アリオス」という市の文化施設のプレ活動としての「おでかけアリオス」なるイベントに、NUU、渡辺亮と参加するため、今年は何だかご縁のある常磐線に乗って福島県いわき市へ。今回のイベントは、アリオスで今後やるような内容の出し物をホールの外に「出前」しよう、という企画で、アリオス立ち上げに関わっている旧知のMさんが仕掛けているもの。しかも、記念すべき第一回目なのだとか。というワケで、今日の公演場所は市内の龍門時。室町時代の山門の残る由緒ありげなお寺である。
 お寺でのライブは決して珍しくないが、音響の状況もひときわ快適で、制作系の仕事からのアタマの切り替えもスムーズに。殆どのお客さんが初めての「NUU経験」であったにも関わらず、とても求心力の高いライブとなった。アリオスのスタッフの皆さんも、「初企画」にやる気満々なカンジが溢れていて、全て「上等」な一晩でした。

 ところで、ON AIR情報を一件。28日に、テレビ東京の夜の「みゅーじん」という番組に、EPOさんがとりあげられている。僕も随分取材に付き合わせていただいたので、少しは映っているのではないかと思う。「手だけ」みたいなことは、ないと思うのですが、一抹の不安を感じつつ、お知らせします。
http://www.tv-tokyo.co.jp/m-jin/
テレビ東京6曲ネット 夜10:54〜11:24
テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
BSジャパン:水曜日深夜0時

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10月25日(木)
 
 
ARIA the Origination サントラレコーディング、二日目(終わり)

 昨日とは打って変わって、開始時間もゆっくり目、ひとつひとつゆっくり時間をかけての、ダビングも含めて計6タイトルレコーディング。恒例の沢田穣治作の大変ややこしい曲も何とかこなし、無事終了。
 今月初めのコーコーヤレコーディングとは究極に正反対の、マルチトラック使用、修正し放題、という、現代では常識的な録り方による録音は、でも、やっぱりラクなんである。特に最近のレコーディング技術たるや、もう殆どあらゆることが可能になっており、もしかしたら初めっからギターなんか弾かなくてもいいのでは?と思う程、いかような修正も可能なのである。今回短期間で計20曲もの録音を実現出来たのも、テクノロジーの助けがあって初めて可能であったワケで、普段アンチテクノロジー派を自称している自分としても、もう、頼り放題。だらしないことこの上ない。「今日もお酒が飲めるのも、機械さまのおかげです・・」と歌うしかないのであった。

1193377808.jpeg こんなに地味な人達でやってます。

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10月24日(水)
 
 
怒濤の15曲イッキ録り。ARIA the Origination サントラレコーディング。

 何だか人気のあるアニメ、ARIAのシリーズも、もう3作目である。ショーロクラブと妹尾武さんの間だけでなく、スタッフ間全てが十二分にコミュニケーションが取れている、或る意味理想的な現場なのだが、スタジオについたショーロクラブの面々は、みんな体調悪そう。「昨日まで熱が38度あった。NUUにうつされたに違いない、いや、ジョゼにうつされたのかな?」とか、冴えない表情で話している。僕も、一昨日は東京で、昨日は関西で込み入った?仕事をして帰ってきたばかりで、累積疲労は6月から溜まりっぱなし状態である。
 しかし、我々はエラかった。11時から始めて、1時過ぎに妹尾さんが合流、4時過ぎに岡部洋一が合流して、結局10時前までに15曲、イッキに録れてしまった。決して簡単な曲ばかりでは無い上に、モニターで痛風のハナシだの保険に入れない体になったというハナシだの、加齢臭漂う会話を重ねつつのこの集中力は、どうしたことであろうか。
1193241356.jpeg しんどいけど、集中力。

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10月22日(月)
 
 

電話

 昨夜、CHOVE CHUVA のKちゃんから電話。彼女は今、松田美緒&ジョアン・リラと各地を廻っている。用件が終わり「それではジョアンにかわります」。う〜む、これ、今回の来日で2回目の流れなのだが、気が重い。何日か前のダイアリーでもジョアン・リラについて触れたとおり、彼とは一応親しい関係であるのだが、そのもっとずっと前のダイアリーで述べたとおり、僕はもうポルトガル語があんまりわからなくなってしまっていて、特に電話でポル語で話すのは、大変ツライ。その上、彼はブラジル北東部地方独特の訛りがあって、更にわかりづらい。前回の電話の時は、1割ぐらいしか言っていることがわからなかった。
 で、今回だが、「2割」ぐらいわかったかな? 31日に何曲ぐらい一緒にやるの?と聞いたのに対して、ジョアンが、「ササジー(北東部なまりでは「ササディー」となる)、全曲一緒だっ!」 と応えてくれた部分だけ、わかった・・・・・。
 で、その夜、珍しく夢を見てうなされた。経緯はわからないが、久しぶりにリオに行って、どっかの飲み屋でマウリシオ・カヒーリョと飲んでいる。何故か彼は流暢な「関西弁」で話しかけてくる。一緒に仕事をしている熊本尚美に教わって、しゃべれるようになった、と、関西弁で言うのである。まもなくペドロ・アモリンから電話がかかってきて、僕が電話口に呼び出されるが、何を言っているのか、全然わからない。マウリシオがかわって、ペドロにたいして、「ササゴは最初にブラジルに来てから20年も経っているのに、未だに全然ポル語がしゃべれない、情けないことだ」と、ポル語で言っている。で、その時だけはポル語が全部理解出来るのだ。(ヒトの夢のハナシ程つまらないモノは無い、といいますが、新幹線に乗っていてヒマだったので、つい書いてしまいました。すいません。)
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10月20日(土)
 
 
博多にて桑江知子さんライブ

 結局睡眠時間3時間、ボロボロですかすがしくないカラダをひきずるように羽田へ。鬼武みゆきさんと落ち合い、博多入り。福岡は桑江さんの育った街で、ここでのライブは桑江さんにとっても特別な気持ちがあるようで、こちらも「眠い」などと言っておられないのである。
 鬼武さんとは、桑江さんのライブサポートを、それぞれにやったり一緒にやったり、という一方で、僕のプロデュースするレコーディングをしばしば手伝っていただいている。二人で桑江さんのサポートをする、というケースは今までは数える程しかなかったのだが、今日は、ひとつの方向性をハッキリ出せたように思った。
 具体的には、ショーロクラブサウンドに通じるような、「静」のサウンドに適した方向性、とでも言えばいいのだろうか。ライブ前にも話し合ったのだが、音量の選択の幅を、弱音方向にヴァリエーション豊かに作って、小さい音のダイナミズムを広げる、という方向である。この表現方法によって、桑江さんの持つバラードの深みのようなものを、よりハッキリと際だたせることが出来る。本日は、この作戦が見事に当たった。
 ただし、この方向の音楽は、場所やお客さんを選ぶ、という条件がいつもつきまとうのであって、このあたりが難しいのですな。以上、多少専門的なつぶやきを。
1193019202.jpeg ご苦労様でした。

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10月19日(金)
 
 
関西テレビ「別冊関テレ批評」のテーマ音楽をアレンジ・演奏・プロデュース。

 「関西テレビの番組のテーマ音楽を、NUU作詞作曲、笹子アレンジ・プロデュースで制作してください。10月21日からON AIRです」というオファーをいただいたのが、2ヶ月ほど前のこと。それで、レコーディング日程の調整をしたところ、空いているのが10月19日のみであることがわかった。つまり音を録った翌々日にはもうON AIR、という、超強行スケジュールである。でもって、ただでも不安一杯のところへ、前日になって「風邪ひいて、高熱を発しています」というNUUからの連絡。え〜っ、知〜ら〜ん〜、とも言えず、もしNUUが来れない時にどうするか、グルグルと考えつつ眠れぬ夜を過ごしたのである。
 で、今日、取り敢えずNUUの熱も下がり、コーコーヤ江藤さんも加えてレコーディング。NUUが持ってきた曲は「今日は日曜日」という、「日曜日の朝をテーマにすがすがしい曲『まだ汚れてない日曜日の朝、心はうきうき』みたいな感じ」というリクエストそのまんまの曲。それに、速攻でアレンジを加え、そのままレコーディングへ。リクエストどおりの軽いタッチの親しみやすい曲に仕上げることが出来た。
 しかしその後が大変。少しでも風邪のダメージの影響が少なくなるように、時間を遅らせて録音に入った上に、作業行程の時間を読み違えてしまったこともあり、終了3時過ぎ、帰宅4時前、ということになってしまった。曲調とはウラハラに、ボロボロですかすがしくない一日となったのであった。

関西テレビ放送 KTV 『別冊カンテレ批評』
10/21より毎月最終日曜日のひとつ前の日曜日 6:30〜7:00am
MC:三倉茉奈・三倉佳奈
進行:石巻ゆうすけ(関西テレビアナウンサー)
http://www.ktv.co.jp/
1193059566.jpeg ラララ〜、今日は日曜日♪

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10月17日(水)
 
 
那覇にて、比屋定篤子コンベンション・ライブ

 いわゆる業界関係者向けの、新譜の宣伝のためのイベントである。普通は、かつて比屋定さんもショーロクラブも在籍していた某S社のような大会社の、特に押しているアーティストの宣伝のために、主に東京で行われることが多いたぐいのもので、今回のようなケースは結構希かも。それだけ今回は関係者もチカラが入っているのだろう。沖縄の業界関係者の皆様、比屋定篤子をよろしくお願いします。
 というワケで、那覇到着早々に、お約束の「てびち」を、サイゲンジ、N原氏達とわざわざ店で待ち合わせて、爆食。その後、ホテルにチェックインし、近所のマーケットに水を買いに行ったところ、何故か古謝美佐子さんご夫妻に遭遇。数年前からの懸案の古謝さんの次回作への参加について、ちょっと相談。早く実現したいのだが。古謝さん達と立ち話をしていたら時間になってしまい、荷物をホテルに放り込んでそのまま会場へ。
 デビュー10年を迎えて、もしかしたらデビュー以来のコンベンションだった比屋定さんは、いつになく緊張の面持ちだったが、サイゲンジも1曲ゲスト参加してくれて、結局はコンベンションライブらしからぬ盛り上がりのうちに終了。あとは泥沼のような打ち上げへ。僕は早々に引き上げたが、比屋定さんは4時半、サイゲンジは6時半まで飲んでいたとか。バカだねえ。
1192721568.jpeg 悶絶てびち

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1192721571.jpeg あの人達に、この言葉を。

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10月16日(火)
 
 
NUU石響。ゲスト、ショーロクラブ。

 朝、渡辺亮君から、よんどころなき事情で本日ライブに行けない、との連絡が。当初は、それではNUUと僕とのデュオで、という考えもあったのだが、せっかく初めての取り合わせを楽しみに来てくださるお客様に申し訳ない、ということで、ゲスト捜しを。しかし、今日の今日で空いているミュージシャンで、しかも取り敢えずみんなに納得してもらえる人なんて、いるのか?それが、いましてん。ショーロクラブ。
 というワケで、NUU with CHORO CLUB が急遽実現してしまうことに。この取り合わせについては、NUUから「夢」としていつか実現出来れば、というハナシは出ていたのだが、歌手としてのタイプとショーロクラブサウンドに整合性があるか?という思いもちょっとあり、特に積極的に企画することは無かった。しかし実は、去年あたりから、僕には「行ける」というイメージは出来ていたのでした。
 夕方に会場でたった1時間ほどのリハを行っただけで、本番へ。NUUとショーロクラブが「出合う」ならこの曲で、と思い定めていたレパートリーを中心に6曲のジョイント。会場との相性も良かったと思うが、初っぱなとしては120点ぐらいの出来ではなかったかと思う。
 リハでも本番でも、まず沢田さんとNUUとのデュオから始めたのだが、終了後の沢田さんの感想は、前に見た時はようわからんかったんやけど、凄い成長しとった、今日はヨカッタな〜、というもの。いやいや、前からヨカッタんだけどなぁ。
 この感想に接して思うこととしては、内側から見てわかることと、外から一瞥してわかることとの間には、やはり大きな距離がある、ということ。外からの見え方というのは、その日のコンディション、会場やお客さんの質やPAなどの状況に左右され、あるいは評価する側の心身のコンディションにも左右されるだろう。パっと一瞬見たイメージも大事にすべきだが、それだけでは見えないこともあるんだなぁ、というアタリマエの事実を、改めて認識したのであった。

1192602720.jpeg 初対決

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10月13日(土)
 
 
本日は久々のダブルヘッダー

 まず、昼に有楽町の外国人記者クラブにて、我が母校「神戸大学教育学部附属住吉小・中学校」の東京同窓会にて、コーコーヤで演奏。この母校は、神戸ではそれなりに名門であって、僕は知らなかったのだが、ノーベル賞受賞者を2人も出しているのだとか。僕は、実は優秀な子供だったのであった(途中までは)。
 同窓会と言っても、実際には功成り名を遂げたご高齢の先輩方が中心で、僕の10代上の今回の幹事K氏も、その中では「若手」に属する、という「同窓会」である。そういう場所ではなかなかにキンチョー(というよりも何か特殊な落ち着かなさ)を感じるもので、普段の数倍疲れた上に、考えられないマチガイなどもしてしまい、メンバーのお嬢様方にはおおいに笑われてしまった。
 そして終了後そのまま新幹線に乗って、宮城県白石市のカフェミルトンへ。到着したのが6時15分、開演時間が6時半、という、非常識な時間の流れだったのだが、そこは「EPO」と「ミルトン」。僕にとっての "二大カジュアル環境" が揃っていたのであり、曲も例によってステージでその場で決めるというラフな流れの中、3時間近い、濃いパフォーマンスと相成った。
 ここのところいろいろハードなので、今日こそはせめて1時には退出しようと思っていたのだが、結局打ち上げが「香ばしくなる」のはその頃から、であって、今宵も3時帰り。長〜い一日であった。
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10月11日(木)
 
 
ジョアン・リラ

 ジョアン・リラが松田美緒と、今、日本各地をツアーしている。今月31日には、僕も参加しての東京公演もあり、今から楽しみである。
 ところで、ブラジル音楽の相当マニアックなファンでなければ彼の名前に反応することはないのかもしれないが、実は彼は凄い人なんである。ブラジル音楽の中でも素材の宝庫とも言うべき北東部音楽の専門家であり、その北東部音楽のダイナミズムをギター一本で表現できる、唯一の人であもる。そうでありながら、ショーロだろうがロックだろうが、何でも出来るレンジの広さも兼ね備えた、スーパーギタリストだ。
 彼と出合ったのは90年頃だったか、当時彼はマウリシオ・カヒーリョとデュオを組んで、北東部音楽を弦楽器で表現することに取り組んでいた。電気も通っていないマウリシオの田舎の別荘で、ガスランプのほの明るい光のもと、二人で練習をしていたのを、横からずっと見せてもらっていた。印象深い思い出である。ちなみにその時彼らがやっていたことは結局CD化はされなかったのだが、秋岡ー笹子「DUO」というアルバムに入れた曲の中の北東部モノは、その影響を受けたモノ、というよりも、「弟子」のようにそのままのアレンジを再現させてもらったモノなのである。
 その、別荘のある田舎の草むらにジョアンとマウリシオと三人で座り込んで、「今年の年収」のハナシなどをヒソヒソとしていたことを思い出す。その時は、ドル建てで計算しても、僕が三人の中でダントツに収入が少なかった。「困ったらいつでも言ってくれ、貸してやるから」と、真顔でジョアンに言われた。いいヒトなのである。
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10月10日(水)
 
 
ウチの宣伝

 では、というワケで、自分の宣伝を。11月29日に、四谷・コア石響でショーロクラブのライブを、多分この場所では2年ぶりぐらいで行う。(左上のINFORMATIONのコーナーに詳細を出しています。)
 ここでのライブはもう十年近く続いているのだろうか(ボケが進行していて、まったくわからなくなっている)、ノーマイク・ノーPAの完全生音、というコンセプトで、文字通り最も「生」なショーロクラブをお楽しみいただける場所である。毎年年末にやっていたのだが、去年はブッキング出来ずに、代わりに今年の2月にオペラシティの近江楽堂で同じ趣旨のライブをやらせていただいた。年末という時期については賛否両論あり、今年は一ヶ月早くやらせていただくことにした。
 アンプラグドを謳っているライブは多いが、ノーマイクノーPAというのは、そう多くあるまい。ヒドイ場合には、エレアコを使っていたりする。それは「アンプラグド」じゃねーっ。ガットギターを弾き続けて思うのだが、エレアコというのはガットギター本来の持つ百分の一の音色しか出せない。かつてはそういう自覚は無かったのだが、ショーロクラブをやるようになり、石響でのライブシリーズをやるようになって、その思いは強くなる一方である。一番「本当」のショーロクラブを見たい方は、是非おこしください。80名限定です。

 で、その石響で、NUU、渡辺亮と三人で、同じく完全生音のライブを行うことも決まっている。(これについてはやはり左上の「SCHEDULE」のコーナーをご覧ください)こちらはもうすぐ、10月16日である。この三人で、どんなカンジの「生」ライブになるのか、我ながら想像出来ない部分もあって、楽しみにしている。NUU本人も、「マイクを持たない自由さ」についての思いがあるようだ。普段より一回り自由に音を出し合えたら、と期待している。
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10月8日(月)
 
 

ヨソの宣伝


 ライブの告知を、と言いつつ、いきなりヨソのコンサートの宣伝です。特にショーロ&インスト好きの皆様へのレコメンドなのですが、11月にベネズエラのアンサンブル・グルフィーオというグループが、ベネズエラ大使館主催の「ベネズエラ文化週間」の一環で来ます。これは凄いグループです・・。ベネズエラの都市型軽音楽というのは、ショーロの兄弟分のようなインスト音楽なのですが、十数年前初めて彼らの音に触れ共演もした時の印象は、「あ、ヘタしたら、このレヴェルに達しているショーロのユニットって、今のブラジルにはいないかも」というほどのモノでした。ラティーナでチケットを売っている(http://www.latina.co.jp/html/liveinfo/LiveIndex.html)のですが、(ワタシはラティーナ誌のマワシモノではないっす。第一、ラティーナにはショーロクラブもコーコーヤも全然載らんじゃないかっ。何故だっ。)特にショーロの好きな人、演奏している人には見て欲しいと思い、イレギュラーなカタチではありますが、当欄にてお知らせする次第です。
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10月7日(日)
 
 
 よく知っている(知りすぎている?)皆様からのBBS書き込みが続いている。当サイトでは基本的に書き込みには、特別な場合を除き反応しないルールを採用している(失礼なハナシで申し訳ないのですが、”縷々事情” 有りて)のだが、もちろん書き込んでいただくことは大変ありがたくもあり、いつも楽しみに読ませていただいている。年賀状を、自分は出さないくせに貰うのはうれしい、みたいなハナシで非常に申し訳ないのだが、ご容赦ください。書き込み大歓迎です。
 今日から数日は、実はご報告することが無い。今月中に行われるいくつかのレコーディングの準備とライブの準備で、ずっと家に籠もりっきりである。なので、ダイアリーでは、ちょっと先のライブなどについてのお知らせを、追々書いていこうと思っている。
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10月6日(土)
 
 


「ARIA」シリーズ第三作、音楽制作ミーティング

 人気アニメ「ARIA」の新シリーズの音楽制作のためのミーティングを、千駄ヶ谷のビクタースタジオにて。三作目ともなると工程も熟知しているし、お互いの能力や人格に対する信頼感も既に十分に醸成されているワケで、無駄無く機能的に、なおかつ和気藹々と、「理想のミーティング」が展開されたのであった。
 今日は、妹尾武さんとショーロクラブがそれぞれに作った新作品のデモ音源を関係者全員で聴きながら、佐藤監督のリクエストを軸に、それらの作品をどういうシーンで使い、そのためにはどういうふうにアレンジするか、ということを決める日である。このシリーズにおける妹尾さんとショーロクラブの「ユニット化」は着実に進展していて、前回以上に多くの場面で妹尾さんとショーロクラブの共演も実現することになった。ここからあとは、もう各自決められた内容のアレンジを期日までに作り、必要な個人練習をして、スタジオに入って録るだけ、である。

 ユニット化といえば、僕が書いたある曲のアタマの二小節が、たまたまなのだが、かつて沢田さんが書いたショーロクラブ楽曲と全く同じメロディであった。(そっから後は似ても似つかぬ展開になるのだが)沢田穣治は「これ、同じやんか、ちょっと変えた方がええで」と主張したのだが、今度はその沢田さんが出してきた曲のある部分が、かつて秋岡欧の作った曲と同じメロディであることが判明(しかも、それに気づいたのは、秋岡ではなく妹尾さんだった)。17年一緒にやっていると、他のメンバーのメロディも自分のメロディもアタマの中で一緒くたになってしまっているらしい。或る意味、究極の「ユニット」かも。
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10月5日(金)
 
 
コーコーヤレコーディング、最終日。

 スタジオに慣れてきたのか、いきなり2テイク目でOKテイクを出し、そのまま昼食前までに3曲を録りきった。これで、今回のアルバムの予定曲数に到達。昼食後、カフェで録った曲のうち一曲を「室内ヴァージョン」で再録音。これも難なくクリアしたのだが、やはりこの4日はハードであったというべきか、イロケを出してチャレンジしたピシンギーニャの曲でイッキに玉砕。最年長の僕から率先して、緊張の糸をぷっつんイカシてしまった。
 ハードな録音だったのは演奏者側だけでなく、プロデューサーのハピネス平野さんも不眠症に悩まされるなど、全員に疲労の色が濃くなってきたところで、十分でしょう!ということになり、終了。
 今回はコーコーヤとしての初めてのフルアルバムのレコーディングだったワケだが、かなりハードな状況の中、僕にとっても若い女子達にとっても、結構貴重な経験をさせてもらったと思う。最終的にどんなカタチの音になるかはまだわからない部分もあるが、実力は出し切っただろう。今年中に残りの細かい作業を終え、来春には発売、ということになる見込み。お疲れ様でした。
1191592664.jpeg ウチのプロデューサーとエンジニアです。

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10月4日(木)
 
 
レコーディング3日目
 
 今日から場所替え。山を二つ越えて、相模原市藤野にある「藤野芸術の家」の中にあるスタジオに引っ越し。スタジオレコーディングといっても「ヴィンテージ機材で・・」というコンセプトは変わらず、故に一曲一曲、生一発録りの神経勝負であることも変わらない。昔の人はこういう録り方しかしていなかったのだなあ、と、今更ながらに感心。そら、実力つくわ。
 今日はパーカッションのBICがゲスト。難しいシチュエーションのレコーディングにつきあってもらった。いろいろ制約がある中、工夫に工夫を重ね、何とかバランスを取りつつ、やってもらったのだが、大変だっただろうな。ご苦労さんでした。
 パーカッションが入る、ということもあって、新曲オリジナル中のリズミカルな曲ばかり4曲、イッキに録音。1曲目の軽快な江藤作品「炭酸水(仮題?)」を2テイクで乗り切ってペースを掴み、最後まで引っかからずに録り終えることが出来た。さあ、あと一日。
1191507332.jpeg 本日のスタジオ。山の中であることは変わらず。

1191507333.jpeg 「BIC、ざんす。」
わかるかなぁ。

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10月3日(水)
 
 

コーコーヤ、ロハスでメタボなレコーディング二日目

 で、今日も同じく「Naturalcafe chichi」にて、録り。昨日はセッティング時間のこともあって、開始も遅く、2曲しか録れなかったのだが、本日は、まずまず順調な流れに。とはいえ、やはり湿気が楽器(クラリネットのみ外のテラスで録っていたので、特にクラリネット)に与える影響は無視しがたく、本日も、計4曲録ったところで、早め終了。
 いろいろハードではあるが、音はほぼ目論見通りのものになっており、これを最終的にどうまとめるのか、我々も興味深く見守っている。プロデューサー、ハピネス平野氏の腕の見せ所じゃ。
 しかし、などと言っておれないほど、この録り方は自分の実力に向き合わざるを得ない録り方である。2年ほど前にこのグループでスタジオに入ってデモ音源を録ったことがあったが、その頃に比べ、もの凄くレベルアップしていることを実感したが、また同時に「まだまだこの程度」な部分にも目を向けざるを得なかった。ううう、疲れる・・。


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10月2日(火)
 
 

コーコーヤ、ロハスでメタボなレコーディング初日

 今回のレコーディングは、いろいろ通常のレコーディングとは異質のことが多い。このレコーディングのために50年以上前のヴィンテージ機材を揃え、その時代の音の質感を活かしたレコーディングをしよう、という「裏テーマ」がまずあり、また、その発想に合わせて、山奥の鳥の声やせせらぎの音の聞こえるような場所で、そういう自然な音も拒否しない録り方をしてみよう、という「チャレンジ」もある。
 で、やってきました、道志村の山奥のカフェ「Naturalcafe chichi」。まさにリクエスト通りの鳥の声と川のせせらぎの音に囲まれた世界。ここにエンジニア佐藤さんご自慢のヴィンテージ機材を広げ、楽器の音の響きに合わせてそれぞれの録り位置を決め、いざ、レコーディング。一休みすれば、お店から手作りの極上マフィンの差し入れ。
 と、こう書くといいことずくめのようだが、ともかく録り方が50年代なので、全て失敗不可の一発録り。楽器同士の音量調整も、立ち位置やマイクの位置で決める、という、今時あり得ないスーパーアナログ録音なワケで、いやー、正直、消耗いたしました。山の湿気というモノが、結構楽器に影響を与えることがわかり、また夕方の気温低下も、いろんな問題を起こすことがわかり、早めに終了。

1191414927.jpeg ロハス

1191414928.jpeg メタボ

1191414929.jpeg ヴィンテージ

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