10月31日(水)
吉祥寺スターパインズカフェにて、松田美緒&ジョアン・リラのライブに出演。
久しぶりに超本格派のブラジル人ミュージシャンと共演した。それも、20年来の友人にして、ブラジル屈指のギタリストの一人と言ってよいジョアン・リラが相手とあって、いろいろ感慨深いものがあった。 20年前に、初めてブラジルに行った頃は、素晴らしいミュージシャン達との出会いは、まさに驚きの連続であった。いつか彼らと共演したい、いつかあんなミュージシャンになりたい、と、まあ、無邪気に思っていたものだった。しかし、だんだん「彼らと違う自分」を意識しはじめ、「違う道」を行くようになって、もう随分経ってしまった。 今回ジョアンと演奏して改めて感じたことは、「やっぱり凄い、魅力的だ」ということだ。こういう音楽が好きでブラジル音楽にのめり込んだんだよなあ、と、かつての自分の気持ちを鮮明に思い出すことが出来た。そして同時に、その後に感じた「自分は違うなあ」という感覚も、ハッキリと思い出した。 技術的に、もちろん彼は度外れに凄いのだが、特に彼の場合、指の持つ「地力」のようなものの凄さに、改めて感心した。そしてそれは、日本人にはほぼ「ありえない」と言ってよさそうなモノある。秋岡曰く「あれを日本人が目指したら、指を壊す」と。楽器は違うが、某有名日本人ドラマーは、アメリカでブラック系のバンドで活躍した代償として、足のつま先を痛めてしまったという。ペダルの踏み込みにチカラをかけ過ぎざるを得なかった、というワケだ。 もちろんそういう「腱の強さ」の違いや実力差ということ以外にも、表現の在り方ひとつを取っても「ものすごく違う」と、改めて感じることが多かった。今、自分はブラジル音楽とは随分違うことを中心とした活動をやっていて、それについても「日暮れて猶道遠し」なのだが、遠く離れた道から、かつてさ迷った大山脈の勇姿を、遙かに垣間見た気分である。ああ、ブンガク的。 そして同時に、そういうジョアンと一対一で対峙して、自分の音楽を追究している松田美緒は、素晴らしい。今日のライブのデキも、ブラジル音楽に関わる日本人歌手のライブとしては、驚異的なものだったと思う。彼女は僕の100倍ぐらいコスモポリタンな人なので、外国の音楽に対して、僕とは全く違う感じ方をしていると思われるが、今後どういう道を辿っていくのか、大変興味深い。
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このおじちゃんは、凄い。 |
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